放射線治療専門医試験対策ー胸部腫瘍
- 試験対策・まとめ情報です。情報については要点を中心に記載しているので説明不十分な点があります。教科書と合わせてご活用ください。試験にでそうな情報についてはコメントいただけると嬉しいです。
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非小細胞肺癌
- 出題は直近5年で18回(2017-28~31, 2018-26~29,2019-27~30, 2020-21/22, 2021-27/29-31)
- TNM分類
- T因子
- サイズ⇨T1a≦1cm<T1b≦2cm<T1c≦3cm<T2a≦4cm<T2b≦5cm<T3≦7cm<T4
- 気管支鏡所見⇨T1:主気管支に及ばない、T2:主気管支に及ぶ、T4:気管分岐部に及ぶ
*気管分岐部への浸潤がT3でないことに注意! - 気管以外の進展範囲⇨T2:臓側胸膜浸潤
T3:壁側胸膜浸潤・胸壁(肋骨で囲まれる範囲)・心膜・横隔神経・同一葉内副腫瘍結節
T4:肋骨部以外の肺に隣接する臓器への浸潤、異なる葉内の副腫瘍結節
*縦隔への浸潤はT4だが、心膜・横隔神経への浸潤はT3であることに注意!
- N因子
- N1:同側肺門まで
- N2:縦隔リンパ節(対側除く)
- N3:対側縦隔、鎖上
- M因子
- M1a:臓側肺外かつ胸腔内の転移
- M1b:胸腔外の単発の転移
- 併用療法
- シスプラチン+ビノレルビン、タキソール、カルボプラチン+タキソール
- CCRT後デュルバルマブによる地固め療法を行うよう推奨されている。
⇒アテゾリズマブも保険適応になった?
- PS不良、高齢者では連日カルボプラチン投与でのCCRTが提案。
- 分子標的薬との併用は推奨されない。
- 併用禁忌・注意薬剤:イリノテカン(肺・食道)、ゲムシタビン(肺)
- 通常放射線治療
- 顕微鏡的範囲に40-50Gy、肉眼的腫瘍範囲に60Gy。
74Gyの高線量では生存率低下した研究あり。
- 照射範囲
原発の位置や腫大リンパ節の位置に応じて予防的にリンパ域含めて照射。
ただ、切除不能進行癌でも予防的リンパ節照射(ENI)を省いてGTVに限局した照射野(IFRT)の方が予後良好な傾向が示されている。
- 通常照射の正常組織の線量体積制約
- 脊髄DMAX<50Gy
- 肺 V20<35~40%、Dmean<20Gy
- 心臓 V50<25%、Dmean<20Gy
- 食道 Dmean<34Gy
- 定位照射
- 抹消性:48Gy/4Fr(アイソセンター処方)
現在進行中JCOG1408では、D95%処方で42Gy/4Fr、55Gy/4Frの比較。
アイソセンター処方だと辺縁処方線量の120%程度となるので上記青下線は同程度の線量。 - 中枢性:JROSG10-1では60Gy/8Fr(アイソセンター処方)が推奨線量。
- 線量制約 (JCOG1408)
- 肺 V40 ≦100cm3、Dmean<18Gy、V15≦25%、V20≦20%
- 脊髄 DMAX<25Gy
- 食道・肺動脈 D1cc ≦40Gy、V35 ≦10cm3
- 胃・腸管 V36 ≦10cm3 、V30 ≦100cm3
- 気管・主気管支 V40 ≦10cm3
- 腕神経叢 V40 ≦ 3cm3
小細胞肺癌
- 出題は直近5年で4回(2019-31, 2020-23/24, 2021-32)
- 限局型(LD)
- シスプラチン+エトポシド+RT(加速過分割:45Gy/30Fr/3週、1.5Gy1日2回)。早期同時併用。
- CR例では予防的全脳照射(PCI)25Gy/10Frで脳転移再発率低下、OS延長。
- 進展型(ED)
- プラチナ系+エトポシド+デュルバルマブでOS延長あり、PDL-1上乗せが推奨されている。
乳癌
- 出題は直近5年で21回(2017-35~39, 2018-33~36,2019-33~36, 2020-28~30, 2021-33~36/38)
- 80%が乳管由来。
- 50%がC領域(上外側)。ADE領域がそれぞれ15%程度で、B領域が5%程度と最も少ない。
- 遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC):下記でBRCA検査推奨(NCCN)
- 45歳以下の乳癌
- 男性乳癌
- 2個以上の原発性乳癌
- 近親者に高グレード前立腺癌がある など
- *オラパリブ(PARP阻害薬)が2018年以降、BRCAバリアントの乳癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌で保険適応。
- 温存術後照射
- 禁忌:妊娠中、活動性の強皮症・SLE、Li Fraumeni症候群、TP53の生殖細胞系列変異
- リンパ節領域への照射
腋窩リンパ節転移≧4個:リンパ節領域への照射が標準治療
腋窩リンパ節転移1-3個:リスクが高い患者で弱く推奨
- 寡分割照射:42.56Gy/16Fr (boost 10.64Gy/4Fr)など
強く推奨:≧50歳、温存術後のpT1-2N0、全身化学療法なし
弱く推奨:上記以外
- boost照射:断端陰性でも50歳以下では追加照射で局所制御が期待できるので検討する。
- 近年腫瘍床にのみ照射する乳房加速部分照射(APBI)も行われているが臨床試験として行われるべき。
- 乳房全切除後照射(PMRT)
- 欧米では強く推奨、日本ではLN転移4個以上で強く推奨、1〜3個で弱く推奨。
LN転移4個以上へのPMRTで生存率改善。LN1〜3個でも乳癌死減少。
- 進行乳癌で術後適切な化学療法が行われれば6ヶ月程度の照射が遅れても問題ない。⇨術後は化学療法先行。
- 照射時化学療法併用⇨×
- 抗HER2(トラスツズマブ・ペルツズマブ)⇨△(長期エビデンス不明。心臓線量注意必要)
- 照射時内分泌療法併用⇨△(効果上乗せなく、重篤な副作用もないので併用しても良いという程度)
- 自家組織、人工物での乳房再建後でもPMRT弱く推奨。
- 選択肢によくでているので、エキスパンダー・インプラントの画像確認。
胸腺腫/胸腺癌
- 出題は直近5年で5回(2017-32, 2018-30,2019-32, 2020-25, 2021-28)
胸膜中皮腫
甲状腺癌
- 出題は直近5年で6回(2017-34,2018-32 ,2019-37 ,2020-26/27 ,2022-37)
- 甲状腺悪性腫瘍の種類
- 濾胞上皮由来:乳頭癌、濾胞癌、未分化癌。分化型癌ではアブレーション、転移に対して131I治療適応。
- C細胞由来:髄様癌
- そのほか:悪性リンパ腫
- 放射線ヨウ素内用治療(原発巣切除後)残存甲状腺破壊的治療(アブレーション)には1110~3700MBq(30-100mCi)
- 腫瘍残存・転移には3700〜5550(100~150mCi)
- 前処置
- 二週間のヨード制限。T3、T4 製剤を2~4週間休薬(内因性TSH増加のため)。
- アブレーションではホルモン製剤休薬のかわりにTSH製剤投与も可。
- 500MBq 以上はアイソトープ病室入室が必要。術後アブレーション目的で1110MBq(30mCi)なら外来で可能。
- ヨード取り込みあれば1年に1~2回繰り返す。
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