消化器系腫瘍

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食道癌

  • 出題は直近5年で9回(2017-40/41, 2018-37/38,2019-39/40, 2020-31/32, 2021-27/29-31)
  • 胸部中部(Mt)が50%程度と最も多い。
  • リスク因子:喫煙、飲酒、ADH1B /ALDH2低活性(アルコールに弱いいわゆるアジアンフラッシュ)
  • 表在癌(T1a、b)でEMR/ESDが行われ、進行癌でも基本手術。
  • ESD深部浸潤がある症例への追加CCRTが追加手術と同等の成績示されている
  • Ⅰ期手術可能例での比較試験で手術に対してCCRT非劣性が示された
  • 標的体積:
    原発巣から3cmに微視的病相の90%以上が含まれる。⇨CTV=GTV+2~4cm
  • 線量分割
    • RT単独60~70Gy, 化学療法併用50~60Gy が現在日本では多い。
      アジア諸国では60y以上の方が予後が良いという報告散見されているが、欧米では50.4Gyと64.8Gyの比較試験結果から、50.4Gyが標準治療と考えられている
  • 併用療法
    • FP療法(シスプラチン+5-FU)
      FP+ドセタキセル療法で良好な成績の報告があるが、有害事象も多い。
  • 有害事象
    • 照射前ステント挿入で重篤な合併症リスクかつ予後悪化
    • アバスチン(EGFR阻害薬)との併用で気管食道瘻のリスク
      現時点でEGFR阻害薬含め食道癌に有用とされる分子標的薬はない。

肝臓癌

  • 出題は直近5年で4回(2017-45, 2018-39,2019-41, 2021-40)
  • 通常照射 50Gy/25Fr程度が用いられる。
    • 線量制約:正常肝Dmean 28Gy未満
  • SBRT
    • 切除・穿刺局所療法困難Child-Pugh分類A~B5cm以内1~3個。ガイドラインで弱い推奨。
    • 脈管侵襲陽性HCCで通常照射+TACEで良好な成績の報告あり。
    • 脈管侵襲陽性HCCでSBRT vs 通常照射+TACEでSBRTが有効な可能性が示唆されている。
    • 線量は35~40Gy/5Fr, 60Gy/10Frなど様々。
    • 線量制約:
      正常肝Dmean3分割で13Gy未満6分割で18Gy未満V15 ≧700ml
      Child-puph分類 Bでは4~6分割で6Gy未満
  • 照射後の腫瘍縮小には数ヶ月を要する。AFPやPIVKAⅡ等の腫瘍マーカー値の減少が先行することも。

Child-Pugh分類

1点2点3点
脳症なし軽度時々昏睡
腹水なし少量中等量
血清ビリルビン(mg/dl)2.0未満2.0~3.03.0未満
血清アルブミン(g/dl)3.5超2.8~3.52.8未満
プロトロンビン活性値(%)70超40~7040未満
  • 5〜6点 Child-Pugh分類A
  • 7〜9点 Child-Pugh分類B
  • 10〜15点 Child-Pugh分類C

膵臓癌

  • 出題は直近5年で5回(2017-42, 2018-40, 2019-42, 2020-33, 2021-43)
  • 膵癌は難治性で、遠隔転移が半数に認められ切除可能は20%程度。残りの30-40%程度でCRT対象となる。
    切除不能例でchemoのみかCRTかは一定した見解なし。新規抗がん剤の発展にともない、化学療法単独が頻用
    border line症例へのCRTで切除可能となる可能性が期待されている。
  • 局所進行例での徐痛にGEM単剤よりCRTが有効
  • 術中照射でLC、徐痛率向上するとの報告あるが、予後の改善は証明されていない。
  • 併用療法:S-1、GEM
  • 治療成績:5年OS 20%程度

大腸癌(直腸癌)

  • 出題は直近5年で4回(2017-43, 2018-41,2019-43, 2021-42)
  • 遺伝性大腸癌:家族性大腸腺腫症、Lynch症候群。
    全大腸癌の5%程度。
  • 放射線治療の意義
    基本手術。局所制御率、肛門温存率、治癒切除率向上のために術前にCCRT。
  • 所属リンパ節
    直腸管膜、内腸骨リンパ節、仙骨前リンパ節。
    腹側臓器(膀胱、子宮、前立腺)に浸潤するT4では外腸骨リンパ節含める
  • 術前照射45~50.4Gy/25~28Fr。
    欧州では25Gy/5Frの術前短期照射も。
  • 照射時はベリーボードを用いて腹臥位にすることで照射腸管体積低下が望ましいとされる。
  • 併用療法:5-FU、カペシタビン
  • 治療成績
    T3~4N0,N1~2に対する術前CRTではpCR 30% 程度。5年PFS 10%以下、5年OS 70%程度。

肛門管癌

  • 出題は直近5年で5回(2017-44, 2018-42, 2019-44, 2020-35, 2021-44)
  • リスク因子:HPV感染、HIV、肛門性交、喫煙
    罹患率:女性二多く、平均年齢は60歳くらい
  • 化学放射線療法にて根治切除と同等の局所制御が得られ肛門括約筋が温存できるので、まずは化学放射線治療を行い再発例に救済手術を行うことが多い。
  • 併用療法:5-FU、マイトマイシン(MMC)
    経口5-FU(カペシタビン、S-1)に代替した研究の報告あり
    MMCがキードラッグだが、マイトマイシンは国内供給停止中。
  • 2cm以下でリンパ節転移や遠隔転移のない腫瘍(T1N0M0)はRT単独も可能。
  • 標的体積:
    内腸骨/外腸骨リンパ節、直腸周囲リンパ節、仙骨前リンパ節、鼠径リンパ節を含む。
  • 線量:化学放射線に感受性が高いことから全骨盤36~39.6Gy程度で、局所に54~59.4Gyまで照射。
    照射範囲が広く化学療法の併用から1回1.8Gyが望ましい
  • 股関節の線量軽減のために、鼠径部への照射は電子線を併用する。
    ⇨IMRTで生存率向上、治療時間の短縮の報告あり。
  • 5年OS 80%程度。5年肛門温存生存70%程度。
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